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最高裁判所第一小法廷 昭和36年(オ)342号 判決 1961年11月30日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小野寺彰の上告理由について。

しかし、事務管理は、事務管理者と本人との間の法律関係を謂うのであつて、管理者が第三者となした法律行為の効果が本人に及ぶ関係は事務管理関係の問題ではない。従つて、事務管理者が本人の名で第三者との間に法律行為をしても、その行為の効果は、当然には本人に及ぶ筋合のものではなく、そのような効果の発生するためには、代理その他別個の法律関係が伴うことを必要とするものである。原判決は右と同趣旨の下に、本件においては、右別個の法律関係について何ら主張且つ立証するところがないことを理由として、上告人の主張を斥けたのである。されば、原判決には所論の違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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